「なんだか育てにくいな…でも、診断も出てないし、様子見でいいのかも」
そんなふうに、“モヤモヤ”を抱えながら子育てしていた時期が、わが家にはありました。
発達検査では知的な問題なし。でも、登園に時間がかかる、ご飯に2時間、癇癪も多くて日々はへとへと。
そして小学校入学。迷いながらも支援級という選択をし、その後に診断がつきました。
この選択は正解だったのか。支援級ってどんな場所? 親にできたことってなんだった?
この記事では、「進級のきっかけ」「家庭での準備」「子どもの変化」「親の学び」を振り返ります。
もしあなたが、似たようなモヤモヤを抱えていたら——きっと、ヒントになるはずです。
進級のきっかけと準備
保育園時代、子どもの行動が周りよりも遅いことには、なんとなく気づいていました。
登園も降園も人一倍時間がかかり、癇癪も多く、親としても日々くたくた。
それでも第一子だったこともあり、「小さい間はどの子も大変なもの」と思い込んで、特に特別な支援を考えることはありませんでした。
発達テストでは知的な遅れは見られず、「様子見」という状況が続きましたが、小学校進学を前に、支援級は診断がなくても利用できると知り、見学を決意。
ご飯を食べるスピードにも課題があり、入学前には一食に2時間かかることもありました。
進級を考える中で一番の不安は、「周囲の目」。
支援級に進むことでいじめの標的にならないか、特別視されることで本人が傷つかないかを悩みました。
でも、先生から「通常級でギブアップするより、支援級から卒業したほうが自己肯定感にプラスになる」という話を聞き、決心。
また、「支援が必要なのに通常級で特別扱いを受けて目立つより、支援級を活用したほうが自然に馴染める」というアドバイスにも背中を押されました。
家庭では、生活リズム(早寝早起き)を特に重視して整えました。
「環境の整備」として部屋の構造化にも取り組み、入学準備をサポートしました。
さらに、今振り返ると「親の違和感」を軽視しなかったことも大きかったと思います。
わが子はチェックリスト的に見れば、ボタンもつけられる、トイレも行ける、着替えもできる——全部“できる”子でした。
それでも、どこか違和感があった。声をかければできる、というのは裏を返せば、声をかけなければ動けない、ということ。
その違和感を「まあ大丈夫かな」と流さず、大切にしたことが、結果的に早めの支援につながったのだと思います。
支援級でのサポート方法
入学当初、子どもは学校に強い嫌悪感を抱いていました。
学校の様子をあまり話すこともなく、毎日「いやだ」と言いながら帰宅。
でも支援級のサポートを受けられるようになってから、少しずつ変化が現れました。
こちらの地域では情緒級がないため、サポートが必要な教科だけ支援級に移動するスタイルです。
正直、学習面ではあまり困っていなかったため「意味があるのかな?」と思う場面もありましたが、少人数の環境で“息抜き”のように過ごせる時間が、子どもにとってとても大きかったようです。
また、支援級に関わることで、子どもに関わる先生の数が増えるというのも意外なメリットでした。
通常学級だけでは担任の先生がメインになりがちですが、支援級に在籍することで複数の先生と関係を築く機会ができます。
どうしても「相性」の合う・合わないはあるけれど、本人が安心して話せる先生に出会える可能性が高まるのは、とても心強いことだと感じています。
家庭では、
- やることリストを作って朝の支度をサポート
- 夜型になりすぎないよう朝型シフトにして家庭学習
- 部屋の構造化で動きやすい環境作り
に取り組みました。
結果的に、朝型の生活リズムが子どもに合っており、支度や学習もスムーズにできるようになりました。
ただ、支援級でのサポートがあっても、すべての困りごとが解決するわけではありません。
わが子の場合、時間割に沿った授業中はある程度スムーズにこなせるものの、
「時間割の外」の行動——たとえば帰りの支度、5分休憩のトイレ、移動教室など——が今でも大きな課題です。
見通しが立ちにくい場面や、自分でタイミングを判断する必要のある場面では、どうしても困難が残ります。
支援級のサポートだけではカバーしきれない部分もあるという現実を受け止めながら、家庭でもできる工夫を模索しています。
親としての感情や気づき
支援級に進んだことで得られた安心感もある一方、親としての不安は完全には消えませんでした。
「学校ではサポートがあるけれど、社会に出たらその支援はなくなる」という現実。
知的に問題がないからこそ、一般社会では“できて当たり前”と期待される厳しさを想像して、不安が募ることもあります。
また、子ども自身も自分の状況を理解している分、支援級に行くことをどう受け止めているのかは、ずっと気にかかっています。
ただ、支援級にいることで、
- 他の子への手出しやトラブルが減った
- 怒られる機会が減った
というプラスの変化も実感しました。
先生方にも、子どもの特性を理解した上で対応してもらえていると感じています。
また、親戚など周囲の人たちにも、「普通に見えるのに障害扱い」という誤解を受けがちでしたが、
支援級に在籍しているという事実が伝わることで、理解してもらいやすくなった面もありました。
親としての学び
最初、発達障害の可能性に気づいても、ASDなのかADHDなのか分からず、何の知識もない中で手探りの子育てでした。
けれど、たくさん本を読み、生活の中で試行錯誤する中で気づいたのは、
「発達障害の子に効果的な支援は、定型発達の子にもプラスになる」ということでした。
だから、仮に支援級が必要なかったとしても、子どもにとってマイナスにはならないと信じて決断しました。
(結果的には、支援が必要なタイプだったと分かりましたが)
特に知的に遅れのないASDの子は、語彙が豊富で知能も高いため、
「こんな難しいことは理解できるのに、基本的な生活行動ができない」というギャップに、親が悩みやすいかと思います。
今でも、必要以上に「教育のせいでは?」「親の関わり方が悪いのでは?」と自分を責めたり、日常のささいな感情が共有できずにイライラしてしまったりすることもあります。
でも、本人たちの特性として“生きづらさ”を抱えていることを忘れずに、学校でサポートが受けられるうちは存分に活用し、二次障害(うつなど)を防ぐことを最優先にするべきだと強く思っています。
また、支援級への過度な期待は禁物。
先生たちも完璧ではないし、家庭で何年もかけて積み上げた支援スタイルと同じレベルを求めるのは酷。
「違って当たり前」と受け止めることで、親自身にも新たな気づきがあり、子どもも社会の多様性を自然に学べるのだと思います。
🍋最後に
支援級を選ぶことに、最初はためらいがありました。
でも、今となっては「早めに環境を整えられてよかった」と思っています。
子どもはまだ試行錯誤の真っ最中だけれど、支援級という場所で少しずつ安心を積み重ね、笑顔で帰ってくる日が増えてきました。
🍋もし今、進級や支援級のことで悩んでいたら——
まずは「わが子に合う環境って何だろう?」と考えてみてください。
その視点が、きっと大きな一歩につながります。
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