〜声かけの代わりに、「見える仕組み」を〜
🟡「構造化」シリーズ連載中!
第1弾:【構造化とは?】
第2弾:【子どもが動けない朝】声かけいらずの支度ルールでラクになるコツ
第3弾:【視覚の構造化】子どもが自分で動ける“やることボード”の工夫
第4弾:【時間の構造化】“きりのよさ”を活かした切り替えの工夫
第5弾:【親こそ構造化】忙しい毎日をラクにする“暮らしの流れ”のつくり方
朝の声かけが止まらなかった頃
「早く支度して!」「次はなにするの?」「もう時間だよ!」
朝の時間、私はいつも“アナウンス係”のように声をかけ続けていました。
でもそのたびに、子どもはぼんやりしていたり、違うことを始めてしまったり…。
「分かってるはずなのに、どうしてできないの?」
そう思ってしまう自分にもモヤモヤして、朝から疲れてしまう日々が続いていました。
「視覚で伝える」という考え方との出会い
そんな時に教えてもらったのが、「視覚の構造化」という方法です。
ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもたちは、
言葉よりも“目で見て理解する力”が高いと言われています。
療育の現場では、「言葉ではなく“見える”形で伝える」支援が多く取り入れられていました。
でも実際は、これは特別な支援というよりも、誰にとっても使いやすい“生活の工夫”だと感じました。
その1:「やること」は“見える順番”で伝える

「次なにするの?」をなくすために、わが家では「やることボード」を取り入れました。
ただし、いきなり全部が見える“チェックリスト形式”は、
子どもにとって逆にプレッシャーになることも。
そこで最初は、①1つずつめくれるタイプにして、
次の行動が見えすぎないようにしました。
慣れてきたら②イラスト付きの壁貼りへ、
さらに進んだら③チェックリスト式へと、
発達支援の視点を取り入れてツールの形を変えていくのがポイントです。
その2:「できない」のではなく、“流れ”がわかっていなかっただけ

息子の場合、入浴もそうでした。
大人にとっては自然にできる「シャワーで濡らして→シャンプー→体を洗って→流す」などの手順が、
息子にはまったく伝わっていませんでした。
私は最初「そんな簡単なことが…?」と驚きましたが、
「何が簡単で何が難しいか」は人によって違うと気づかされました。
そこで、入浴の流れをポスターにしてラミネートし、お風呂の壁に貼るようにしました。
(ラミネートしたものは、水をつけるだけで壁にくっつくので学習ポスター代わりにも使えて何かと便利ですよ。)
声かけをすればできると思いがちですが、
子どもにとって“声かけ”は注意されているように感じることもあります。
だからこそ、「自分で確認できる」仕組みが大切なのです。
その3:TODOではなく“楽しみ”も一緒に見せる
視覚化は便利な反面、ただの「やることリスト」になってしまうと、見るだけで気が重くなることもあります。
大人でも「タスクだけ」並んでいると気が滅入りますよね。
そこで、
- ごほうびシールを貼れるようにしたり
- 好きなキャラクターとタッチできる仕掛けを入れたり
- 「あとで○○があるよ」と期待をもたせる構成にしたり
“楽しみ”も視覚化の中に組み込む工夫をしています。
実は私たちも「視覚支援」に助けられて生きている
「視覚の構造化」と聞くと、
“特別な支援”だと思われがちかもしれません。
でも実は、私たちも日常的に視覚支援に助けられて暮らしているんです。
- 赤信号は「止まれ」
- トイレのマークは言葉がなくても伝わる
- 駅の案内板や非常口のマークなど…
私たちは“見て理解する”ことで安心し、行動している。
だからこそ、家の中でも「わかりやすいマーク」を使うのは自然なこと。
- 片付けの棚に「ここに戻す」マーク
- 玄関に足あとマーク(靴を揃える位置)
- コップに名前シール or イラストマーク
こうした家庭内の“暮らしの標識”が、子どもにも親にも見通しと安心をもたらしてくれます。
🍋もし今、「何度言っても伝わらない」と感じていたら…
まずは「視覚で伝える」ことを、1つだけ試してみてください。
イラスト1枚、カード1枚からでも、変わることがきっとありますよ。
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