〜「あと5分」じゃなく「次はこれ」で動ける仕組み〜
朝、なかなか動けない…声かけの限界を感じていた頃
「7時半だよ!」「もう出発の時間だよ!」「なんでまだパジャマなの?」
そんなふうに声をかけ続ける朝が、毎日くり返されていました。
子どもも「分かってるよ」と言いつつ、動けないまま時間だけが過ぎていく…。
私もイライラしてしまい、「どうしてできないの?」と責めるような口調に。
でも一番困っていたのは、子ども本人だったのかもしれません。
「時間割があっても困っている」…「発達支援」としての視点で気づいたこと
きっかけは、学校での「トイレの失敗」でした。
授業の時間割はしっかり決まっていても、休み時間に“何をするか”の指示はなく、自分で考えないといけない。
実は、ASDの子どもにとってはこうした「空白の時間」がとても難しいのです。
例えば、
- 給食の前にエプロンをつける
- 帰りの支度で教科書をランドセルにしまう
…そんな、“言われないけどやらなきゃいけないこと”が多すぎるのかもしれません。
実際に取り組んだ「発達支援としての時間の構造化」
その1:「行動の流れ」を視覚で見えるようにする
朝・帰宅後・寝る前、それぞれの時間帯ごとにやるべきことを一覧にして掲示しました。
たとえば朝なら:
- ①きがえる
- ②朝ごはん
- ③おくすり
- ④連絡帳をしまう
- ⑤顔を洗う・歯をみがく・髪を整える
- ⑥洗濯物をしまう
- ⑦トイレ
- ⑧ランドセル・持ち物最終確認
→ 発達支援の一環として、時間ではなく「流れ」で支度ができるように。
その2:「タイマー」より「きりのいい区切り」で動ける工夫

ASDの子どもは、時計の数字よりも「納得できる区切り」を重視する傾向があります。
「あと5分」ではなく、「ドリルが終わったら」「この本のページまで読んだら」など、自分の感覚と行動が一致するタイミングで動けるほうがスムーズです。
また、読書など集中しているときは切り替えが難しいため、
- 砂時計
- 視覚タイマー
- 「◯◯が終わったら〜しよう」カード
などを併用して試行錯誤中です。
その3:「行動の予定」も一緒に組み込んでおく
学校の時間割には授業の時間しか書いていないけれど、
本来は「トイレに行く」「エプロンをつける」なども発達支援の一環として“予定”にしておいた方がいいこと。
時間の構造化とは、「何をするか」「いつするか」「どうやってするか」を見える形にすること。
我が家では、「ばんごはんまでにすること」「ねるまでにすること」も分けて掲示しています。
実践後の変化:「考えなくていい安心感」が増えた
子どもにとって、「何をすればいいか」が視覚で見えるだけで、動き出しがスムーズになりました。
声かけの回数も減り、親としても毎日同じことを言うストレスが軽くなっています。
最近では、息子自身が「家を出る前に忘れ物がないか声かけて」と頼んでくれるようになりました。
自分の“つまずきポイント”を理解して、自分から対策を取ろうとする力が育ってきたように感じます。
「朝の支度」や「視覚の構造化」など、時間の扱いと組み合わせるとさらに効果的です。
→ 【視覚の構造化】の記事を見る
構造化は「自立の練習帳」
大人も、会社や家庭で「忘れやすいことはチェックリストにして管理する」ことがありますよね。
それと同じように、子どもも「実行役の自分」を動かすために「指示役の自分」が必要なんだと思います。
発達支援としての構造化とは、まさにその“サポート役”をつくること。
最初は親が用意するものだけれど、いずれは自分で自分を整える力へと育っていくのだと思います。
🍋もし今、時間でうまく動けなくて困っていたら…
時計ではなく「行動の流れ」を整えることから始めてみるのはいかがでしょう。
スケジュールじゃなくて「見通し」があるだけで、きっと暮らしが変わります。
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